読了記録

20090707
『廃墟建築士』  三崎亜記・著

表題作のほかに3編の小説がおさめられています。
どの作品も不思議な設定が描かれていて、最初は星新一を思いながら読んでいましたが、いや、違う。でもどこかで出会ったことのある感じ・・・この作家の作品を読むのは初めてなはず・・・思い出せなくて気持ちが悪い・・・
などと、本筋とは違うところで呻り、あっ、小川洋子作品の雰囲気かも・・・と思ってスッキリしてから本気で読みました。coldsweats01

シュールで、そして静か。悲劇とか喜劇とか、ハッピーエンドなどという言葉の範疇に入らない読後感。経験したことがあるはずのない状況のストーリーなのに、なぜか懐かしい感じでした。出会えてよかった1冊です。(装丁も素敵!)

ところで、「笑い」とは無縁の小説でしたが、個人的に仕事柄、「1種廃墟」「2種廃墟」はたまた「みなし廃墟」の件ではバカ受けしてしまいました。winkもちろん、ここは笑うところではありません。

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7月3日

姪のR嬢が通うバレエ教室の発表会でした。
母親によると、お金もそこそこかかり、親もいろいろ忙しく大変なのですが、とにかく本人が楽しく通っているので、やめさせられず・・・ということです。

むりやり?同行させられ、写真撮るから仲良く並んで!と指示を受けて「やんなっちゃうなぁ。」の兄の写真。(妹は日頃いじめられて大嫌いなはずのお兄ちゃんとの2ショットでしたが、ルンルンでした。)
20090703


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読了記録

20090623
『カソウスキの行方』 津村記久子・著

津村さんの『ポトスライムの舟』を読んだときに、うら若き女性に色気めいた雰囲気がないのは読んでいて辛いなぁと思ったのでしたが、やっぱり?『カソウスキの行方』というタイトルの作品があることを知り、読まなくちゃ!と思った次第です。

さてさて「カソウスキ」とは「仮想好き」のことで、主人公イリエ(やっぱり苗字です。)は、やりがいの感じられ無い職場で、まったく恋愛対象とは思っていなかった同僚男性を「好きと仮想して」、それに基づいて彼をひそかに観察したりその行動を記録したりすることにより、なんとか出社できている・・・とストーリーは進みます。

薄くはあるけど紛れも無い恋愛が描かれていて、正直ホッとしました。最初は「とうとう仮想でなくては恋愛もありえない状況なのか・・・」と思ってたものですから。

自分の好みとしては、虚構の中の恋愛くらいはドロドロしてて欲しいかもcoldsweats01と思わなくも無いのですが、虚構(仮想)と現実の境界って実際どこよ?というのを問いかけられてしまったので、「カソウスキ」でも案外危険dangerなんだわーと思ったのですが、つまり何が言いたいのでしょう>自分。。。sign02

2冊続けてこの作家を読みましたが、笑いの要素も多くて基本的には楽しい読書ができました。また他の作品も読もうと思っています。


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6月19日の徒然

いちいち思い出さなくてもいいのですが、私の誕生日です。

太宰治と一緒らしいです。
宝塚歌劇団の音月桂さんと一緒らしいです。
小学校2年の時同じクラスだったゆかりちゃんと一緒です。(生まれ年も一緒だわね。)

本日は映画『愛を読むひと』が公開される日で、そのキャンペーンで知ったのですが、6月19日は[朗読の日]だそうです。coldsweats01まあ、そう読めなくもないですね。以前からそうだったのか、映画会社がそう決めたのかわかりませんが。

この映画の原作『朗読者』、以前に読んでいますが、読んでも忘れてしまうのがほとんどなのにかなりの感動でストーリーもよく覚えています。(本人比だけど・・・)
いやぁ、これ泣けますよぉ。この小説を読むまで、自分の中で「最高に泣かされた小説NO1」は『マジソン郡の橋』だったのですがcoldsweats01その記録を破った1冊でした。そしてこの記録は浅田次郎氏の『蒼穹の昴』を読むまで破られなかったのであります。つまり我が読書人生で2番目に泣けた小説ということですね。

映画は見に行かないと思うので判りませんが、原作のほうはオススメ度大です。映画も小説も何も知らないで見たり読んだりしたほうが楽しめそうな話です。私は偏頭痛持ちなので、大泣きすると2・3日頭痛が続く状態になります故、読み直したいけど我慢。

頭痛問題のせいで近寄りたくても近寄れないのが、重松清さんの本なんだよねー。このジャンルも絶対大泣きしそう。もちろん動物物もダメ。coldsweats02動物物はタイトルとかで避けられるのですが、重松さんの短編はyomyomで読んでしまい、やっぱり大泣きして頭痛を発生させました。嬉しい悲鳴というのははあるけど、嬉しい頭痛もあってもいいかな、なんて思いはします。

ところで、誕生日だからといって特別なことはなく普通に過ぎていくと思う今日ですが、とりあえずゴルフのUSオープンのため、この週末は超早起きしてTV見ます。

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読了記録

20090609
『ポトスライムの舟』 津村記久子 著

芥川賞受賞作ですね。
あらすじはこちらにお任せします。

まず一番に感じたことは、色気のない作品だということ。そもそも主人公は29歳の女性なのにナガセだし。苗字かよ!みたいな。coldsweats01

自分もいい年なので、20代の人をどうも我が子とまではいかなくても、慈しむような気持ちで見てしまうようで、そこに描かれている、若いのに恋愛の可能性のかけらも感じさせない日常に対して、『いのち短し恋せよ乙女』というフレーズが頭の中をリピートしてしまいました。(注・自分の20代が数々の恋愛に彩られていたわけでは勿論ありません。think

それでも、彼女をとりまく人々(主な登場人物がすべて女性なのは重要なポイントだと思う)は、母性に近いような愛情で、ゆるくではあるけど絶対にほどけないように結びついているように思います。読み終わってみて、男性と女性の違いをまざまざと見せつけられたような気がしました。(それを対比させて書いている部分はないのですが。)

ナガセは幸せなのだろうか。幸せが物質的なものでは測れないことは重々承知していながらも、「彼女には助け合って暮らしていける友人や母がいるからまだ幸せな方だ」というなら、これからの世代の人たちの将来を憂慮し、気持ちが重たくなるのでした。

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宙組 みてきました

宝塚歌劇団 宙組
東京宝塚劇場

『薔薇に降る雨』
作・演出/正塚晴彦
『Amour それは・・・』
作・演出/岡田敬二

トップコンビの大和悠河さんと陽月華さんのさよなら公演でした。
(最近さよなら公演が続いていてます。。。)

お芝居についてですけど、多分私はハリー(正塚先生)ファンなので、こういう作品好きなんです。
今回感じたのは、何をやっても同じ人物になってしまう役者っていがちですが、ハリー作品の主人公って誰がやっても同じ人物みたいですね。いえ、いいんです。こういう男性タイプなので。lovely

それは置いといて、今回生徒さん達すべての滑舌がすばらしくて、聞き取るのにストレスのあったセリフが一つもありませんでした。この点、本当に本当に本当に感動しております。

タニちゃん(大和)はいつもの通り美しく、男役としてのその美しさも私は今日が見納めだったわけです。フィナーレ前の黒燕尾の群舞。明るくとびきり可愛い男の子だったタニちゃんが、かっこいい大人になって巣立って行ってしまうのだぁという思いがこみあげてきて、おばさんはおねえさんは落涙しました。

最初に実際の舞台で大和さんを見たのは、98年の『West Side Story』でした。それこそ本当に男の子の役でしたっけ。一番好きだったのは2004年の『白昼の稲妻』かな。明るい人物も屈折した人物もできた、芝居巧者でしたね。

この公演は昨日初日が開いたばかりなので、千秋楽まではまだ日があります。もう一度行けたらいいのですが。。。


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花組 相模大野公演

宝塚歌劇団 花組 全国ツアー公演
グリーンホール相模大野

ミュージカル・ロマン 『哀しみのコルドバ』
グラン・ファンタジー 『Red Hot Sea II』

『哀しみのコルドバ』は1995年に安寿ミラ主演で上演されたものを、ビデオが擦り切れそうになるほど繰り返しみた、大好きな作品です。そういうわけで今回の公演をとても楽しみにしていました。最後に前公演のビデオをみてから10年くらいたっていたのですが、ストーリーはもちろんセリフの数々も覚えていて、我ながら大したものだとあきれて感心してしまいました。

この作品でどこが1番好きかといいますと、最後の幕が閉じるところのコーラスだったりする。coldsweats01それは置いといても、全編をとおして、素晴らしい音楽がしかも絶妙のタイミングで入る演出、最高であります。

やっぱり前キャストと今キャストを見比べてみてしまったのですが、主人公エリオ役の真飛聖さんは95年の安寿さんよりも情熱的なエリオで、せっかくそういう自分を抑えて生きてきたのにエバに再会してしまった・・・という男でした。だから、再会して一気に破滅へという展開に説得力が増していると思いました。

ロメロ役の大空祐飛さんは、すごく知的でクールな紳士。こちらは95年の真矢みきさんに感じた人情味とはまた反対の印象を受けました。

エリオとロメロがそれぞれ正反対(とまでは言えないけど)の人物に入れ替わった印象だったのが、面白かったです。再演ってこういうところもチェックポイントですね。

それからアンフェリータの桜一花さんが、とっても可愛くて健気でよかったです。歌も95年の純名りささんに全然負けてなかったです。こんなに歌えた人だったのですね。(余談ですが、失意のアンフェリータに寄り添うように現れるフェリーぺ。思わずストーカーみたいに見張っていたんかい!と突っ込みたくなってしまい、ああ、95年にはストーカーなんて言葉一般的じゃなかったなぁ、などと考えながら見てしまった。)

最後のエリオが死んでしまう場面が近づいて、あのーこの劇場「せり」が無いようなのですが、どのように死ぬのですか・・・と思いながらみていましたら、成程!そう来たか!の演出でした。2階席だったので、高く戴かれた真白な衣装のエリオの亡骸がとてもきれいに見えました。泣けたー。

思い入れがある作品なので、長くなってしまった。

ショーの感想ですが、去年本公演でも見たはずのショーなのですが、「こんなに面白かったー?」
人数が少なくなっているはずなのに、パワー倍増の印象。ロケットボーイガールのおねえさんの脚線美に見とれてしまい、お顔を確認し忘れたのですがあれは朝夏まなとさんだったのかな。それと客席降りの場面で真飛さんの衣装が、さりげない衣装なんだけど、なぜだかあの金スパン刺繍とダンスの動きとともにゆらめくジャケットに感動してしまい、これが宝塚のトップさんだよねぇと大感動したのは、本当に自分でもなぜだかわからない。coldsweats01

それと、今までツアー公演は神奈川県民ホールでしか見たことがなかったので、今回両花道にミラーボールが置いてあるというのを初めて見ました。これはこれで、とても綺麗でした。

以上、長過ぎ。ここまでお付き合いくださった方、ありがとうございます。heart

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読了記録

20090527
『エル・スール』 アデライダ ガルシア=モラレス 著


不思議な感覚の残る本で、読み終わってすぐ、もう一度読みました。

「父親を自殺で失った少女の精神的な成長が本人の独白で綴られている話です」
と言ってしまうと、そんな小説じゃぁなかったよなぁ・・・という感じがしてきます。
1度目は主人公の少女に寄り添って読んで泣き、ストーリーを知って読む2度目は、周辺の人々それぞれの苦しみや悲しみの意味が判って読んだからか泣けて泣けて。

結局のところ何が解決するでもなく、何を乗り越えたわけでもないですが、主人公はすべて抱えたまま、それでもしっかりと歩んで行くだろうという希望を感じさせて終わります。それでも、当分の間3度目は読むまい。weep


この小説を基にした映画が、先に世に出ていて、映画ファンの間では有名な映画らしいです。是非、見たいと思っています。というのも、この不思議な読後感は、物語のによるところが大きい気がすからです。家族それぞれの孤独や絶望の舞台であるスペインのぽつんとした一軒家。表紙の写真だけがたよりですが、それが映像で見られるわけですので。


ところで、今読みかけのものも含めて、最近翻訳物を続けて読んでいますが、どれも素晴らしい訳で嬉しい今日この頃です。happy01

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ちょうど半年かも(泣)

着手後半年でこんなんです。
一時放置、一時がむしゃら。

20090524 雄鶏社『刺繍通信 vol.13』p.5より デザイン/オノエ・メグミ

そろそろ、そのがむしゃらが原因の不具合があちらこちらに出現しております。その場凌ぎの力任せは後工程にひびきますねぇ。1メートルは離れて見ていただきたいというシロモノになってきました。

半年前のまだ純粋無垢だったころ。

091_2

泣いてもいいですか。


ところで、マスクはどこに行ったのでしょうか。

昨日電車に乗りまして、その車両内のマスク人口を数えましたら、2人。片瀬江の島行きだったので、途中サーフボードのお兄ちゃんたちが3人乗車してきて、ボード人口がマスク人口を超えました。

でも~、売ってないよぉ。どこにも。皆さんしまいこんでいるのね。

問題だと思ったのは、マスクの人の両隣の席に誰も座ろうとしなかったことです。マスク人口が少ないと「この人はアメリカ帰りなのか?」などと、かえって避けられてしまうのかもしれません。それがいやで、自分で不安を持っている人がマスクをしにくくなってしまってらまずいと思うのですが。

どっちにしろ、マスクが入手できないんだけど。

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読了記録 ねたばれあり

20090521
『土曜日』 イアン・マキューアン 著


「面白い」と「楽しい」は違うのだと、今更ながら思いました。
というのは、この本、面白かったとはいえるけど、読んでいて楽しかったとは?

舞台はロンドン。9・11のテロ後、いつイラク攻撃が始まるかというとき。その攻撃に反対する大規模デモが行われる土曜日。ある外科医がこの土曜日に何を考え、何をしたのかが書かれています。(しかも異常に詳細に。一瞬プルーストの名がよぎって、読みとおせないかと思った。coldsweats01 それと、まず最初にソール・ベローの『ハーツォグ』という小説の一節が引用されていて、いきなり学生時代の暗い思い出を呼び起されいやな予感が・・・長くなるので、この話は後日。)

彼は40代。仕事・家庭・もちろん経済的にも、成功者です。敢えてこういう人物設定にされているのでしょうが、小説の中でなければありえないくらい満ち足りた人生を送っています。しかしながら、この幸福が実はとても不確実なものであることを意識せざるを得ない主人公。

途中、彼と娘がイラク(=フセイン)攻撃の是非について口論になる場面があります。ここでの父の意見は、「報復テロは激化するかもしれない。でも、フセインを倒すことでイラクが民主化し、報復テロなど取り越し苦労に終わるかもしれない。もちろん、戦闘においては犠牲者がゼロということはないが、それはフセイン独裁政権による抑圧・虐殺の被害者よりはるかに少なくすむだろう。」というものです。


私はこの部分を、西側諸国の人間として父親の意見に沿って読んでいました。(読後にそれでよかったのか考えさせられることになるのですが。)


満ち足りた土曜日が終わりかけた家族の団らんの時間に、主人公の家に暴漢が押し入ります。彼とは昼間、この外科医が反戦デモを避けて侵入した道路で自動車の接触トラブルがあったのでした。彼は進行性の脳の病気を持っていて遠くない将来命も失うであろうことが、優秀な医者である主人公には言い当てることができたのです。そして、特別にその治験者リストに加えてやるという嘘により彼を油断させ、息子と力を合わせて彼を階段から突き落として窮地を脱します。

警察も引き上げたところに、病院から緊急手術の呼び出し。患者が先ほどの暴漢だということは判っていますが、彼は病院に行き外科医としての素晴らしい仕事をやりきって、家に戻りベッドに入ろうとするところで、やっと長かった土曜日が終わります。(日付はとっくに日曜日になっていますが。)

眠りに就く前、彼は考えます。明日は警察や家族を説得しなければ。あの病を持つ男を起訴しないように、と。


読後まず思ったことは、自分が憲法9条というものを持つ国の人間だということを忘れていたなぁと・・・なんだかこの英国人の外科医に念押しされたような気がしました。

独裁者・テロリスト・犯罪者に対する暴力による抑止はそれぞれどう違うのか。独裁者による虐殺・テロリズム・犯罪による被害者として、あるいはたとえ少数であっても戦争の被害者として、あるいは不治の病によって、自分の一つしかない命を失うということは、その人にとってどういう違いがあるのか。
よく分からないし、分かる人がいたら教えて欲しい。


そういうわけで、面白かったのですが、楽しくはない読書でした。coldsweats01
オススメ度は大です。


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