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2010年7月

2010.07.10

読了記録『逆説の日本史』第3巻

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このシリーズは本気でオススメです。 ところどころ逆説に逆説したいところもポツポツ無くはないけど、とくに日本史好きでもない私のような者にとって「なんとなくの常識」だったことが、なんとあやふやで「とりあえずそういう事にしておかれている歴史」だったのだと気付かされます。しかも井沢さんの説明を読み進めると、そうとしか考えようがないのに、どうしてそうではない事が定説とされているんだろう…と笑いたくなるほど不思議。

この巻では大雑把に言って、「道鏡は悪僧ではない」とか、「日本人と『ことだま』の関係」などが印象的でした。前巻での「天智と天武が兄弟ではない」というのも衝撃的でしたが、とにかくいちいち納得させられ、読んでいてワクワクします。

さっそく続きを読みます。

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2010.07.05

読了記録『東京島』

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発表されたときから興味があった本でしたが、今回文庫になったので、購入してしばらく積んであったのでした。やっと読めました。

無人島に流れ着いた男性たちとたった一人の女性。
この女性がふとった40代後半という設定で、他の男性たちはおそらく20代の若者。彼らから見たら全くのオバサンなはずなのですが、たった一人となると…それを利用して生きようとする女性のふてぶてしさ、はたまた怖さ?が、まず感じられるところ。

ところがこの女王様的な地位も安定せず、その後も権力者の地位はあちらこちらへと、移ろっていきます。そういう過程で、人間のエゴや弱さ、裏切りと疑心暗鬼、などが描かれているのも予想通りなんですよね。

だから描かれ方だと思うのです。

生理的に気持ちが悪い小説なんですけど、無人島での生活は、本当はもっととことん気持ちが悪いことの連続だと思われるのです。そこで、そのあたりの描写をさらにさらに細かく生々しくしていただくとか、このスピードでストーリーが進むのなら、もっとサラッとした描写で済ましてくださっても良かったのですが。(もともと短編のつもりで書き始められたらしので、仕方ないのかな。)

などと、自分好みに書いていただけるはずもないことを、ウダウダ書いてしまいましたね。

映画化されてもうすぐ公開のようですが、主人公が木村多江ということで、【奇麗すぎる!】 原作とは焦点が違っていて、美しい女性が強くたくましくサバイヴする。。。という話になっているのかもと予想します。

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2010.07.01

読了記録『葬送』

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平野啓一郎・著  『葬送』  読み終わりましたので、覚書を。

文庫で全4巻とはいえ、2ヶ月かかってしまいました。
ドラクロワが自作について思索する場面などが多く、いちいち手元の iPhone でその絵画のタイトルをググり、どのような絵なのか確かめるまではともかく、さらにその周辺のリンクや blog などを探して読んだりしていると、肝心の小説1Pに対して、iPhone 30分ですか!という状況を呼んでしまったのであります。

絵画だけでなく、ショパンの楽曲についての話も当然多かったわけですが、こちらは楽譜や音源を捜さなくても知っている曲が多かったので、調べる必要が少なくて助かりました。ショパンの曲も調べながらだったら、さらに2ヶ月かかっていたかも知れません。(泣)

当時のフランス・ポーランドの政治状況もイマイチ知識がなくて、歴史がらみのものは日本のものしか読めない自分を認識した次第です。

肝心の物語についての覚書。
冒頭のショパンの葬儀の描写から、一気に自分がその時代のその場にいるフランス人であるかのような錯覚に陥るような臨場感。控えめに言っても、大スクリーンで映画をみているかの様でした。

そうか、これ、映画で見たいですね。ただ、人物の心理描写がものすごく細かくて、これは文学でなければ表現できないレベルだし・・・

ショパンの話と思って手に取った小説でしたが、結果、ドラクロワのファンになってしまった。先日たまたまTVから「ドラクロワの背景は背景でしかない」というナレーションが流れてきたのを聞いて、思わずTVに向かって本人の代わりに反論していたことがあって、自分でも吹き出してしまいましたよ。(小説内でドラクロワが自分の背景の技法に関して述べている場面があったのです。)

伝記を書くように、詳細に調べられた事実に沿いながら、事実以上の真実を例によって重厚な文章で綴った、読み応えのある小説でした。

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