読了記録『贖罪』
『贖罪』 イアン・マキューアン 著 読了。
読後しばらくあまりの感動で、気持ち的に、立ち上がれないかのような状態にさせられる。実際には立ち上がり、歩き回り、日常生活の動作をしているけれど、意識はこの小説の世界からなかなか抜け出せない。
主人公(といっていいかな)のブライオニーが、その少女ゆえの嘘で、姉セシーリアとお屋敷の使用人の息子ロビーとの、本当に本人たちも気付いたばかりの愛を引き裂いてしまう。第二次世界大戦の時代をはさんで、作家となったブライオニーは、『贖罪』の小説を書き続ける。何度も推敲をかさね、彼女の人生の終りが見えてきたころやっと最終稿は完成する。
その小説のなかでは、セシーリアとロビーは困難を乗り越えて再会できているが、(著者マキューアンが小説家ブライオニーに言わせているように、それは、すべての読者の望むところである。)実際は彼はフランスで戦死していたということが語られ、読者はやはりという落胆を感ぜずにはいられない。
小説では贖罪はできないのか・・・
マキューアンは『贖罪』という小説のなかで、ブライオニーに『贖罪』という小説を書かせていて、こういう入れ子の構成をとることで語りたかったことがあるはずだが、今はそこまで考える余裕がないので、再読してゆっくり考えたい。
心に引っかかる表現の数々に立ち止まりたいという思いと、物語の先に進みたいという思いがかちあって、それぞれであっちが勝ったり、こっちが勝ったり。もどかしかった。(特に若い二人がお互いの愛に気づき確かめ合う場面がとても美しかった。)取りこぼした言葉を拾いに戻るには再読が必要だが、図書館で借りてきた本だったぁー。
文庫版を買うべきか。それに、映画化もされているので、DVDも探してしまいそうだ。
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